「システムを改修したいけれど、何を伝えればよいのか分からない」
「設計書も詳しい担当者もいないので、相談してよいのか不安……」
古いシステムの改修や見直しを考えたとき、このように感じる企業担当者は少なくありません。
しかし、システムの詳しい仕様をすべて把握してから相談する必要はありません。
設計書がなくても、システムの中身が分からなくても、まずは相談できます。
一方で、事前にいくつかの情報を整理しておくと、システム会社との打ち合わせがスムーズになり、
調査時間や見積りのずれを減らしやすくなります。
今回は、システム会社へ相談する前に準備しておきたい5つのことをご紹介します。
1️⃣今、何に困っているのかを整理する
最初に整理したいのは、「追加したい機能」ではなく「現在の困りごと(課題)」です。
例えば、
- 入力作業に時間がかかっている
- 同じ内容を複数のシステムへ入力している
- 帳票の作成に手間がかかる
- 特定の担当者しか操作や修正ができない(属人化)
- システムが止まらないか不安がある
- 法改正や業務変更へ対応しにくい
といった内容です。
相談の段階では、解決方法まで決める必要はありません。
「新しい画面を作りたい」と伝えるよりも、「現在どの作業に時間がかかっているのか」を伝えた方が、
より適切な改善方法を検討できます。
場合によっては、システム改修をしなくても、運用方法の見直しや既存機能の活用で解決できることもあります。
2️⃣システムを「誰が・どのように」使っているかを確認する
同じシステムでも、部署や担当者によって使い方が異なる場合があります。
事前に、次のような情報を確認しておくと役立ちます。
- 利用している部署・利用人数
- 利用する時間帯
- 日常的に使う機能(毎日使う機能など)
- スポットで使う機能(月末や年度末だけ使う機能など)
- 権限の違い(管理者と一般利用者の違い)
例えば、普段は10人程度が利用していても、月末には多くの担当者が同時に操作するかもしれません。
また、管理者だけが行う特別な処理や、現場独自の運用が存在することもあります。
こうした情報は、改修範囲やテスト方法を考えるうえで非常に重要です。
3️⃣分かる範囲でシステムの資料を集める
設計書が完全にそろっている必要はありません。
手元にある資料を、分かる範囲で集めておくだけでも十分です。
例えば、
- 設計書や仕様書
- 操作マニュアル
- 画面や帳票の一覧
- システム構成図
- 過去の改修資料
- 障害や問い合わせの記録
- 契約書や保守資料
正式な資料がなくても、画面のスクリーンショットや担当者が作成した手順書、Excelのメモなどが調査の
手掛かりになります。
資料が古い場合も、破棄せずに共有した方がよいでしょう。
実際のシステムと違う部分があっても、「以前はどのような構成だったのか」を知る材料になるからです。
4️⃣改修の希望時期と予算感を決める
初回の相談の段階で、正確な予算を決めるのは難しいものです。
それでも、
- いつまでに対応したいのか
- 急いでいる理由は何か
- おおよそどの程度まで予算を検討できるか
を伝えておくと、現実的な提案を受けやすくなります。
例えば、
- 法改正までに対応したい
- 担当者の退職前に引き継ぎたい
- 来年度の予算で実施したい
- まずは小規模な改修から始めたい
といった背景です。
希望時期や予算感が明確になると、「すべてを一度に改修するのではなく、優先順位をつけて段階的に進める」
といった柔軟なプランも検討できます。これらを伏せたまま相談すると、実現性の低い提案や、想定から大きく
外れた見積りにつながることがあります。
5️⃣社内の確認担当者を決めておく
システム改修では、システム会社だけで判断できないことが多くあります。
例えば、
- 現在の詳しい業務手順
- 例外的な処理のルール
- 帳票の実際の使われ方
- 改修後の動作確認・最終判断
- 過去の経緯
などは、実際にシステムを利用している企業側でなければ分かりません。
そのため、相談前に次の役割を決めておくと進めやすくなります。
- 全体の窓口になる人
- システムに詳しい人
- 現場の業務を説明できる人
- 最終的な判断をする人
すべてを一人で担当する必要はありません。
システム担当者、現場担当者、管理者など、それぞれの立場から確認できる体制をつくることが成功の鍵です。
💡設計書がなくても相談はできる
「資料がないから相談できない」と考える必要はありません。
実際には、
- 設計書がない
- 当時の開発会社と連絡が取れない
- 仕様を知る担当者が退職した
- どのプログラムが動いているか分からない
といった状態から調査を始めるケースもあります。
ただし、情報が少ないほど、現在の状態を把握するための調査時間が必要になります。
そのため、設計書がなくても、現場の担当者が知っていることや、日頃使っている資料をできるだけ共有する
ことが重要です。
「分からないこと」を無理に埋める必要はありません。
「何が分かっていて、何が分かっていないのか」を正直に伝える方が、システム会社側も調査計画をスムーズ
に立てられます。
🛠️最初から改修方法を決めなくてもよい
システム会社へ相談する前に、「全面刷新する」、「クラウドへ移行する」、「AIを導入する」といった改修方法まで
決める必要はありません。
重要なのは、「現在の課題」と、「将来どのような状態を目指したいのか」を整理することです。
その上で、
- 現状のまま運用する
- 必要な部分だけ改修する
- 新しいサービスと連携する
- 段階的に移行する
- 全面刷新する
といった選択肢を比較します。
手段を先に決めてしまうと、本来必要のない機能や大規模な改修に進んでしまう可能性があるため注意しましょう。
📋相談時に伝えたい内容のチェックリスト
相談前には、次の内容を分かる範囲で整理しておくとよいでしょう。
- [ ] 現在困っていること
- [ ] 改善したい業務
- [ ] システムの利用者と利用状況
- [ ] 手元にある資料(マニュアルやメモ含む)
- [ ] 過去に行った改修の履歴
- [ ] 希望する時期
- [ ] おおよその予算感
- [ ] 社内の確認担当者・窓口
- [ ] 将来的に実現したいこと
- [ ] 現時点で「分からない」こと
すべてが埋まっていなくても問題ありません。
この項目を使って情報を整理するだけでも、初回の相談が進めやすくなります。
🤝まとめ
システム会社へ相談する前に、完璧な設計書や専門知識をそろえる必要はありません。
事前に準備しておきたいのは、以下の5点だけです。
- 現在の困りごと
- システムの利用状況
- 手元にある資料
- 希望時期と予算感
- 社内の確認体制
これらを分かる範囲で整理しておくだけで、システム会社は現状を把握でき、調査や提案の精度が上がります。
大切なのは、最初から完璧な答えを用意することではありません。
現在「どのような状況」で、「何に困っているのか」を共有し、一緒に解決策を探すことです。
まずは今分かっていることから整理することが、無理のないシステム改善への第一歩になります。
