スマホOCRは業務で使える?読み取りやすい帳票とAI-OCRの活用方法を解説
紙の申込書や点検表、日報などを使った業務は、現在でも多くの現場で行われています。
こうした紙帳票の情報をシステムで管理する場合、一度パソコンなどへ入力し直さなければならず、入力や確認に時間がかかることがあります。
そこで活用できるのがOCR(光学文字認識)です。
OCRを利用すると、スマートフォンで帳票を撮影し、記載されている文字をデータとして取り込むことができます。
最近では、AIを活用して文字や帳票を認識する「AI-OCR」も利用されるようになり、手書き文字やレイアウトの異なる帳票など、従来型のOCRでは扱いにくかったケースにも対応できるものがあります。
一方で、
- 実際の業務でも問題なく使えるのか
- 手書き文字はどのくらい読み取れるのか
- どのような帳票に向いているのか
- AI-OCRを使った方がよいのか
- 読み取りミスがあったら意味がないのではないか
と気になる方もいるのではないでしょうか。
OCRは、どのような帳票でも100%正確に読み取れるものではありません。
しかし、帳票や読み取る項目、撮影方法などの条件が合えば、入力・転記作業を減らす手段として十分活用できます。
今回は、スマホOCRで読み取りやすい帳票や工夫が必要なケース、AI-OCRの活用方法、業務で利用する際の考え方についてご紹介します。
スマホOCRは業務で使えるのか
スマホOCRが活用しやすいのは、紙に書かれた内容を後からパソコンへ入力し直しているような業務です。
例えば、
- 訪問先で申込書を撮影する
- 点検作業後に点検表を撮影する
- 紙の日報を撮影する
- 現場で記録した帳票をデータ化する
といった使い方が考えられます。
従来、
紙に記入 → 事務所へ持ち帰る → パソコンへ入力
としていた作業を、
紙に記入 → スマートフォンで撮影 → OCRでデータ化
という流れに変えることで、転記作業を減らせる可能性があります。
重要なのは、OCRだけですべてを自動化しようと考えることではありません。
読み取り結果の確認や一部修正が必要だったとしても、これまで人が入力していた項目の多くを自動で取り込めれば、業務全体では十分な効果が得られる場合があります。
OCRで読み取りやすい帳票
OCRは、一般的に次のような条件の帳票で利用しやすくなります。
印刷された文字
パソコンなどで印刷された文字は、手書き文字と比べて文字の形が一定しているため、比較的認識しやすい傾向があります。
レイアウトが決まっている帳票
毎回同じフォーマットを使用する申込書や点検表などは、
「この位置に日付がある」
「この欄に商品番号がある」
といった形で、読み取る項目を決めやすくなります。
読み取りたい項目が決まっている帳票
帳票に書かれているすべての文字を読み取るのではなく、
- 日付
- 担当者名
- 商品番号
- 数量
- 管理番号
など、必要な項目を限定すると業務にも組み込みやすくなります。
OCRで工夫が必要なケース
一方で、OCRの認識結果は帳票や撮影状態によって変わります。
特に、次のようなケースでは事前の検証が必要です。
1.手書き文字
手書き文字に対応したOCRもありますが、印刷文字と比較すると、文字の書き方によって認識結果が変わりやすくなります。
例えば、
- 崩した文字
- 小さな文字
- クセの強い文字
- 判別しにくい数字や記号
などは、正しく認識できない場合があります。
そのため、手書き帳票で利用する場合は、実際に現場で使われている帳票を使って認識結果を確認することが重要です。
2.写真が暗い・影が入っている
スマートフォンで撮影する場合、画像の状態も認識結果に影響します。
- 写真が暗い
- 帳票に影が入っている
- ピントが合っていない
- 帳票が大きく傾いている
といった場合には、文字を認識しにくくなることがあります。
OCRの性能だけではなく、現場で安定して撮影できる仕組みを考えることも重要です。
3.帳票のレイアウトが大きく異なる
帳票ごとに項目や配置が大きく異なる場合、読み取る場所や項目を単純には決められません。
使用するOCRの方式によっては異なるレイアウトにも対応できますが、帳票の種類が多いほど設定や処理方法の検討が必要になる場合があります。
そのため、
「OCRで読めるか」だけではなく、「自社で使用している帳票をどのような方法で処理するのが適しているか」
まで考える必要があります。
AI-OCRを活用できるケース
近年では、AIを活用して文字や帳票を認識する「AI-OCR」も利用されています。
従来型のOCRは、印刷文字やレイアウトが決まった帳票など、一定の条件で処理することを得意としています。
一方、AI-OCRの中には、AIを活用した文字認識や帳票解析によって、
- 手書き文字
- 項目の位置が異なる帳票
- 複数のフォーマットが混在する書類
など、従来型のOCRでは扱いにくかった帳票に対応できるものもあります。
ただし、AI-OCRを使えば、どのような帳票でも正確に読み取れるわけではありません。
対応できる文字や帳票の種類、認識精度は、使用するOCRや帳票の状態によって異なります。
AIを使うこと自体を目的にするのではなく、現在の業務を効率化するために、どの方法が適しているのかを考える必要があります。
OCRは「認識率100%」だけで判断しない
OCRを検討するときに、特に気になるのが読取精度です。
もちろん正しく認識できることは重要ですが、業務改善という観点では、認識率だけで判断する必要はありません。
例えば、現在10項目をすべて手入力している業務があったとします。
OCRによって大部分を自動入力し、人が読み取り結果を確認して必要な部分だけ修正する運用にできれば、最初からすべて入力するよりも作業を減らせる可能性があります。
つまり重要なのは、
「OCRが100%正しく読めるか」ではなく、「現在の入力作業をどこまで減らせるか」
という視点です。
OCR単体の性能だけを見るのではなく、現在の業務フローと比較して導入効果を考えることが重要です。
読み取った後のデータをどう使うかも重要
スマホOCRの目的は、紙を文字データに変換することだけではありません。
業務で活用するのであれば、読み取った後のデータをどう利用するかまで考えることが重要です。
例えば、
スマートフォンで帳票を撮影
↓
OCRで必要な項目を読み取る
↓
読み取り結果を確認・修正する
↓
業務システムへ登録する
↓
検索・集計・工程管理などに利用する
といった仕組みにすることもできます。
単に紙をデータ化するだけでなく、その後の入力や管理まで含めて仕組みを考えることで、OCRを業務効率化につなげやすくなります。
場合によっては、OCRを導入すること自体が目的ではなく、現在行っている転記や入力作業をどうすれば減らせるのかから考えた方がよいケースもあります。
業務内容によっては、OCR以外の方法で仕組みを見直した方が適している場合もあります。
スマホOCRを導入する前に確認したいポイント
スマホOCRを業務で利用する場合は、導入前に次のような点を整理しておくと検討しやすくなります。
- どの帳票を読み取りたいのか
- 印刷文字か手書き文字か
- 帳票のフォーマットは一定か
- どの項目をデータ化したいのか
- 1日にどのくらいの帳票を処理するのか
- どこでスマートフォンを使用するのか
OCRの性能だけを比較するのではなく、実際の業務の流れに合わせて考えることが重要です。
まとめ
スマホOCRは、紙帳票からの転記や入力作業を減らす方法の一つです。
特に、
- 帳票の形式がある程度決まっている
- 読み取りたい項目が明確になっている
- スマートフォンで安定して撮影できる
- 読み取り結果を確認する運用を組める
といった業務では活用しやすくなります。
また、手書き文字や複数形式の帳票など、従来型のOCRでは扱いにくいケースでは、AI-OCRが選択肢になることもあります。
ただし、どのようなOCRでも、すべての帳票を100%正確に処理できるとは限りません。
導入する際には読取精度だけではなく、
- 入力作業をどれだけ削減できるか
- 現場で無理なく使えるか
- 読み取ったデータをその後どう活用するか
- どのOCRが業務に適しているか
まで含めて検討することが重要です。
