「このシステムは○○さんしか分からないんです。」
システム開発や保守の現場で、このような話を聞いたことはありませんか?
このような状況になると、「ブラックボックス化している」「属人化している」という言葉が使われます。
どちらも似たような意味で使われることがありますが、実は少し違います。
今回は、この2つの違いと、企業にとってどのようなリスクがあるのかを分かりやすくご紹介します。
🧓属人化とは?
属人化とは、「業務や知識が特定の人に集中している状態」のことです。
例えば、
- このシステムを修正できるのはAさんだけ
- 障害が起きるとAさんにしか対応できない
- 運用手順がAさんの頭の中にしかない
このような状態では、Aさんが休暇を取ったり、異動や退職をしたりすると、業務が止まってしまう
可能性があります。
つまり、問題は「人」に知識が偏っていることです。
🔳ブラックボックス化とは?
一方、ブラックボックス化とは、「システムの中身が誰にも分からない状態」を指します。
例えば、
- 設計書が残っていない
- ソースコードはあるが内容を理解できない
- なぜこの仕様なのか分からない
- 修正すると何に影響するのか予測できない
このような状態では、「動いているから触らないでおこう」という判断が増え、改善や機能追加が難しく
なってしまいます。
こちらは「システムそのもの」が見えなくなっている状態と言えるでしょう。
💡属人化とブラックボックス化の違い
簡単にまとめると、
| 比較項目 | 属人化 | ブラックボックス化 |
| 問題の本質 | 知識が特定の人に集中している | システムの仕組みが分からない |
| 状態 | 「人」の問題 | 「システム」の問題 |
| 発生する困りごと | 担当者が変わると困る | 誰が担当でも困る |
もちろん、両方が同時に起こることもあります。
例えば、担当者しか仕様を知らず、その担当者が退職してしまうと、システムは一気にブラックボックス化
してしまいます。
✨「古いシステム=ブラックボックス」ではない
ここで誤解してほしくないのは、
「レガシーシステムだからブラックボックス化している、というわけではない」ということです。
長年使われているシステムでも、
- 設計書が整備されている
- ソースコードが管理されている
- ノウハウが共有されている
このような環境であれば、安心して保守・改善を続けることができます。
逆に、比較的新しいシステムでも、情報が整理、共有されていなければブラックボックス化することが
あります。
つまり、問題は「古さ」ではなく、「見える状態になっているかどうか」なのです。
🪄ブラックボックス化を防ぐために
ブラックボックス化は、ある日突然起こるものではありません。
日頃から少しずつ取り組むことで、防ぐことができます。
例えば、
- 設計書や運用手順を更新する
- ソースコードを定期的に整理する
- 複数人でシステムを理解する機会をつくる
- システムの全体像を見える化する
- 生成AIを活用してソースコードの解析や設計書作成を支援する
最近では、生成AIを使ってプログラムの内容を要約したり、設計書のたたき台を作成したりする企業も
増えています。
AIを活用することで、担当者しか知らなかった知識を共有しやすくなるのも大きなメリットです。
📌まとめ
属人化とブラックボックス化は似ていますが、同じではありません。
属人化は「人」に知識が集中している状態を指し、
ブラックボックス化は「システム」が見えなくなっている状態です。
どちらも放置すると、保守や改善が難しくなり、将来のシステム更新にも大きな影響を与える可能性が
あります。
だからこそ重要なのは、今あるシステムを「見える化」し、知識を共有していくことです。
それは、システムを守るだけではなく、会社が長年積み重ねてきた技術やノウハウを未来へつないでいく
ことにもつながります。
